ここから沼津の反撃がスタートする。
沼津は開幕戦以来、サポーターに勝利を届けられずに歯痒い思いを募らせている。スコアレスドローに終わった前節の結果を受けて再び最下位に沈んでいるが、引き分けが続いている直近の２試合を振り返れば、内容面は着実に上向いてきている。
前々節の長野戦では、今季最多となる18本のシュートを放つほど相手を圧倒し、前節は、リーグ内でもボール保持率の高い群馬に対し、前線の守備から高い位置でボールを奪い、いい守備からいい攻撃という形からゴールに迫った。その手応えをいかにゴールへ結びつけて、そして勝利へと繋げていけるかー。そこが今、アスルに問われている部分だ。
結果的には手応えを掴めたどちらのゲームも無得点に終わり、2試合連続ドローと勝ち切ることができなかった。現役時代はストライカーとして数々のゴールを決めてきた中山雅史監督は、「ゴールを取るためにはもう半歩、数秒でもはやく触れるか。ゴールまであと少しだが、“あとちょっと”が難しい」とゴールを奪う難しさを口にする。その“あとちょっと”の差を埋めていけるかが勝利へのポイントとなる。
今季は、FIFAクラブワールドカップが行われるため、6月1日から10日まで『特別登録期間』が設けられる。すでにチームに合流し、トレーニングを積んでいるいわきFCから期限付き移籍で加入した白輪地敬大とブラジル人DFのルーカス・セナが今節から出場可能になる。また、サガン鳥栖から育成型期限付き移籍で加入した渡邉綾平は、群馬戦でひと足先にデビューを飾り、ボランチの位置でフル出場。繊細なボールタッチとパスセンスでボール回しに落ち着きをもたらし、要所で鋭い縦パスで攻撃のスイッチを入れるなど存在感を示した。新たにアスルの一員となった新戦力が沼津の反撃を後押しする起爆剤となれるか。今節はその活躍が見どころとなる。
今節ホームに迎え撃つ相手は、11位のツエーゲン金沢だ。ただ3日、２年目の伊藤彰監督との契約を解除し、辻田真輝強化部長が後任の新監督として就任することを発表。クラブとして監督交代という決断に踏み切った最初のリーグ戦であること、さらに５月は１分３敗と勝利を飾れずに苦しんできた流れを変える意味でも、貪欲に勝ちを目指しにくるのは間違いない。戦力的に見れば、J1通算100ゴール以上を決めてきたパトリックらリーグ屈指の実力があるチームであることに疑いの余地はない。その相手から久しぶりの勝利を飾ることができれば、反撃に向けてこの上ない自信を掴むことができるだろう。

過去対戦成績