沼津は開幕戦以来、勝利を飾れずにもがき苦しんでいる。

この流れを変えるチャンスでもあった、日曜日に行われた天皇杯静岡県予選では、富士宮・富士市を拠点とする岳南Fモスペリオにまさかの逆転負けを喫した。リーグ戦のアウェイ３連戦を終え、延期されていたJ３第５節・福島戦から中３日というタイトな日程ではあったものの、中山雅史監督は「それを言い訳にしたら強くはなれない。弱いから負けた、ただそれだけのことです」と自分たちに矢印を向けた。この敗戦から立ち上がるリバウンドメンタリティーが、今、チームに求められている。

ただ、先週水曜日に臨んだ福島戦では、ポジティブな側面も垣間見ることができた。ここまで失点を抑えられている一方で、得点力不足に悩まされてきたが、福島戦では今季最多となる14本のシュートを放ち、攻撃面では多くの決定機を作ることができた。最終的には、途中出場した川又堅碁が値千金の同点弾をヘディングでマークした１点にとどまったが、これまでのリーグ戦では相手に押し込まれる展開が多かった中、攻撃の形は少しずつ改善の兆しを見せている。

その背景にあるのは、前線からの守備が機能したことが大きい。最終ラインからボールをつなぐ福島に対し、鈴木輪太朗イブラヒームと柳町魁耀の２トップが守備のスイッチを入れ、藤井建悟と鈴木拳士郎の両サイドが外へのコースを限定。ボールを中へ誘導し、最終的にはボランチの位置で奪い切る。その連動した守備によって、高い位置でボールを奪うシーンがこれまで以上に多く見られた。高い位置でボールを奪えれば、失点のリスクを抑えながら得点チャンスを作り出せる。その成功体験を掴めたことは、チームにとってもう一歩前進するための材料となる。

この状況を好転させられるかどうかも、自分たち次第だ。そのためには、粘り強くゲームを運んでいくしか道はない。リーグ戦直近３試合はいずれも前半にリードを許す展開を強いられており、この流れは勝ち点３を得るために断ち切らなければならないポイントだ。そこで勝利への執念を見せることが、最後に勝ち点３を手繰り寄せるはずだ。 ただ、ホームに迎え撃つ八戸は好調だ。開幕直後は勝ち星を先行できなかったが、４月を３勝１敗という好成績で乗り越え、連勝で４位まで浮上してきている。また、27日に行われたツエーゲン金沢との第１節延期試合では、昨夏から半年間沼津に在籍した中野誠也が待望の初ゴールをマーク。リーグ戦では１年以上ぶりとなるゴールを決めたストライカーを抑えることが求められる。

開幕戦以来の勝利を飾るために――。
愛鷹が一体となって、八戸へ立ち向かう。

過去対戦成績