クラブにとって大きな分岐点を迎えている。

23年、アスルクラロ沼津の監督に就任した中山雅史氏。23、24シーズンは、シーズン後半戦に失速してクラブ初のJ２昇格という悲願は叶えられなかったが、この期間に上位争いできるだけのチームに成長し、自分たちからアクションを起こすことを重要視する“超攻守一体”という主体的なスタイルをチームに浸透させて、“今季こそは”と３年目のシーズンに臨んだ。

今季は、開幕戦こそ勝利したが、そこから13試合勝ちなしと序盤に躓くと、第15節金沢戦（３○０）、第19節高知戦（４○０）と浮上の兆しが見えた時期もあったが、その後もチームの流れは好転しなかった。第27節を終えた現在は3勝9分15敗の最下位。クラブワーストのリーグ７連敗に伸びた前節松本戦後、クラブは９月１４日付で中山雅史監督が退任し、鈴木秀人ヘッドコーチが後任として監督に就任することを発表した。

「たらればを無くしていかなければいけない」―。

あの試合に勝利していれば…、あの場面でゴールを決めていれば…、あの失点を防げていれば…、試合に向けてもっといい準備ができていれば…。結果が振るわない時に、たらればはつきまとう。悔やんでも悔やみ切れない後悔と共にシーズンを歩んできたからこそ、前指揮官は常々、たらればを無くしていくことへの思いを口にしていた。

J３リーグは、泣いても笑ってもラスト１１試合。いくら悔やんでも過去は変えられない。このクラブに関わる全ての人にとって、最も大事なのは過去ではなく、“今”。この舞台にしがみつくために大きな決断を下したクラブがここからどういった姿を見せられるかが問われている。現状、19位のカマタマーレ讃岐とは勝ち点「７」差で、J３残留に向けて他のクラブよりも苦しい状況なのは間違いない。その中でこの舞台にしがみつくために大きな決断をし、皆がこの状況を変えようと歯を食いしばっている。もう後悔はいらない。新たなに山口遼コーチも迎えた新体制の初陣となる今節、クラブ一体となって“後悔なき未来に向かって”全力で突き進む。

今節、ホームに迎え撃つ奈良クラブは、12勝8分7敗でプレーオフ圏内ギリギリの6位と上位につけている。リーグ戦では6試合負けなしと続いていた中で、前節は鹿児島ユナイテッドFCに敗れて無敗がストップ。こちらも初の昇格を掴むために、勝ち点３を目指して愛鷹に乗り込んでくるだろう。

４月の前回対戦で敗れている相手をホームで倒し、ここからもう一度、這い上がれるというリバウンドメンタリティーを示す一戦となる。

過去対戦成績