【インタビュー企画】「原点勝利」の先へ。 街とクラブをつなぐ「分かりやすさ」と、1年でのJリーグ復帰への決意

2026/09/03

第28回JFL(2026-27シーズン)開幕に向け、アスルクラロ沼津がどのような想い、考えで、日々動いているかを、サポーター・地域・パートナー企業の皆様に知っていただくことを目的として、フロントスタッフインタビュー企画を全6回でお届けします。

第4回は【広報編】。アスルクラロ沼津の「声」として、クラブの情報を地域やサポーターへ届ける広報グループ。
そのリーダーを務めるのが、地元・沼津出身の松本渚さんです。
大学時代からサッカーに関わり、社会人としての経験を経て、再び故郷・沼津へ。現在はホームページやSNSの運用、メディア対応、広報物の制作など、クラブと地域をつなぐさまざまな情報発信を担っています。
2026-27シーズン、アスルクラロが掲げるのは「原点勝利」。
1年でのJリーグ復帰を目指す中で、広報には何ができるのか。「分かりやすく伝えること」「アスルクラロらしさを届けること」、そして「みんなでJリーグへ戻る」というストーリーを発信すること。
松本さんに、広報として描く今シーズンの挑戦と、クラブの未来への想いを聞きました。



【インタビュー】「原点勝利」の先へ。

街とクラブをつなぐ「分かりやすさ」と、1年でのJリーグ復帰への決意

 

1.サッカーに育てられ、地元・沼津へ

――まずは、ご自身の経歴と現在担当されている業務について教えてください。

松本:
私は地元・沼津の出身で、大学進学を機に東京へ出ました。大学時代は4年間、大学サッカーの運営に携わっていました。
卒業後はそのまま東京で就職し、専門商社で法人営業や店舗運営やECサイト運営サポートを、その後、人材関連の広告営業を経験し、地元である沼津に戻ってきました。
2021年にアスルクラロに入社し、経理や営業サポートの事務を1年、2023シーズンからチケット、ファミリー会員の担当をし、途中からはMDも兼務しました。手探りの3年間でしたが、「ホームゲームがクラブの根幹」と、DNAにもあるように、ホームゲームのチケット価値向上、MDでは、愛鷹を青く染めてホームの雰囲気をつくることを念頭に置き、売上を拡大することに全力で向き合ってきました。公式LINEが元々社内で、ファンクラブ担当の管轄であったこともあり、昨年までも発信を一部担当していました。
現在は社長室の広報グループに所属しています。


主な業務は、
ホームページやSNSの運用・情報発信、メディア対応、ポスターなどの広報物の制作です。

――広報として働く中で、どのようなところにやりがいを感じていますか?

松本:
一番の魅力は、「自分たちの想いを、形にして発信できること」です。
このクラブの規模感だからこそ、自分たちが発信したものがダイレクトに地域へ届きやすいと感じています。
自分が制作に携わったポスターが街のいろいろな場所に貼られているのを見たり、地域の方から「最近ポスターが増えてきたね」と声をかけていただいたりすると、本当に嬉しいです。
SNSについても、「この投稿が良かった」「もっとこういう情報が見たい」といったリアルな声を直接いただけるので、自分たちの仕事が地域とつながっていることを実感できます。

2.アスルクラロらしさの原点は「分かりやすさ」と「温かさ」

――広報活動で、最も大切にしていることは何でしょうか?

松本:
一番大切にしているのは、「分かりやすさ」です。
誰が見ても正しく、間違いなく伝わること。
まずは、正確な情報を、正しく伝えることを大切にしています。
同じ情報であっても、発信する媒体や場所によって、伝え方は変わります。
「誰に届けたいのか」「その人にとって、どの伝え方が一番分かりやすいのか」を考えながら発信するようにしています。
特にタイトルなど、文字数が限られているものについては、限られた言葉の中でどう興味を持ってもらうか、どう内容を伝えるかを意識しています。

――「アスルクラロらしさ」を伝える上でも、「分かりやすさ」は重要なのでしょうか?

松本:
そう思います。
むしろ、この「分かりやすさ」そのものが、アスルクラロらしさなのではないかと思っています。
あえて難しいことばや英語を前面に出すのではなく、誰が見ても直感的に理解できる言葉を使う。
DNAにもある、昔からクラブが大切にしてきた「全力」という言葉もそうですが、誰もが一目で意味を理解できる言葉だからこそ、幅広い人に届くのだと思います。

アスルクラロのファン・サポーターは、小さなお子さんからご年配の方まで、本当に幅広い世代の方がいます。

だからこそ、特に紙媒体では、誰にでも伝わる言葉で発信することを大切にしています。

 

3.「初めて来た人」に伝えたい、アスルクラロの魅力

――初めてスタジアムに来る方や、初めてアスルクラロを知る方に伝えたい魅力は何でしょうか?

松本:
良くも悪くも、「これほど人が良く、優しいクラブは他にない」ということだと思います。

長くクラブに在籍している選手の人柄だったりもそうですが、サポーターの皆さんやボランティアスタッフの皆さんも含めて、初めて来た方に対して「いろいろ教えてあげたい」「何か力になってあげたい」という温かい気持ちを持っている方が本当に多いです。
スタジアム全体が、まるで一つの「近所の集まり」のような雰囲気なんです。
知り合いが別の知り合いを呼び、そこからまた新しい人がつながっていく。ひとりで初めて来た方も、温かく迎え入れてくれる、そんなアットホームで温かい「街」のような雰囲気こそ、アスルクラロならではの大きな魅力だと思います。

 

4.2026-27シーズンの挑戦。「ライト層」にも届く情報発信へ

――今シーズン、広報として特に力を入れたいテーマを教えてください。

松本:
今シーズンの大きなテーマは、「ライト層の拡大」と「発信の強化」です。
これまでを振り返ると、コアなファン・サポーターに向けた情報発信や告知は最低限できていたと思います。
一方で、コアなサポーターの方であっても、自分から積極的に情報を探しにいかなければ、必要な情報にたどり着きにくかったり、告知した結果のレポートなどが足りていないという課題を感じています。
今シーズンは、すでにクラブをフォローしてくださっている方にはもちろん、「毎試合は来られないけれど、アスルクラロには少し興味がある」という方にも、しっかり情報を届けたいと考えています。
ファンの皆さんが自分から探しに行かなくても、自然とクラブの情報が届く。そんな発信を強化していきたいです。

 

――各メディアはどのように使い分けていますか?

松本:
オウンドメディアでは、それぞれの媒体の特徴を活かして発信しています。

  • ホームページ:クラブの公式情報を、文章でしっかり伝える場所
  • X・InstagramなどのSNS:写真や動画を中心に、視覚的に伝える場所
  • YouTube:試合日の映像などを通して、チームのリアルな熱量や雰囲気を伝える場所
    リソースに限りがある為、なかなか満足にはできていないというのが現状ですが、まずはできることを続けていきたいです。

そして、新聞やテレビなどのメディアとの連携も非常に重要です。
試合の告知や直接的な取材をいただく機会は、まだ十分とは言えません。
一方で、サッカーだけではなく、地域での活動が新聞などの地域面で取り上げていただく機会は確実に増えています。
今後は、メディアの皆さんに向けて小さな「取材の種」を丁寧に蒔きながら、クラブの活動をより多くの方に知っていただけるよう、メディアとの連携も強化していきたいです。

 

5.「試合結果」だけではなく、「Jリーグへ戻る物語」を届ける

――今シーズン、新たにチャレンジしたいことはありますか?

松本:
現在、自社でJFLの試合映像をYouTubeで配信しています。
このプラットフォームを活用して、新しい発信の形や、パートナー企業の皆様との協働にもチャレンジしていきたいです。

今シーズンは、静岡県東部20市町の皆さんを巻き込みながら、「みんなで一緒にJリーグへ戻る」というプロセスそのものに共感していただけるような発信を意識していきます。
私たちが伝えたいのは、単なる試合結果だけではありません。
その背景にある「ストーリー」を伝えたいんです。
1試合1試合の重みをしっかり伝え、見ている人を巻き込み、最終的には、
「スタジアムへ行って、直接応援したい」
と思っていただけるようなストーリーを発信し続けたいと思っています。

6.サポーターと同じ「温度感」で発信する

――ファン・サポーターとのコミュニケーションで、心がけていることはありますか?

松本:
「サポーターの皆さんと同じ温度感でいること」です。
今、クラブが置かれている状況や、サポーターの皆さんが何を求めているのかを常に考えながら発信しています。
公式アカウントから一人ひとりの方へ直接返信することは難しいですが、発信に対するリアルタイムの反応や声はしっかり見ています。
「これは少し違うかもしれない」と感じた場合には、発信のトーンや内容を柔軟に修正することも大切にしています。
これからも、皆さんから「もっとこういうものが見たい」という声をたくさんいただき、それに柔軟に応えていきたいですね。

 

7.「アスルくん」と一緒に、もっと地域へ

――地域の中でクラブをより身近に感じてもらうために、取り組みたいことはありますか?

松本:
マスコットである「アスルくん」をもっと活用していきたいです。
アスルくんが地域のイベントなどに参加するようになって3、4年ほどになりますが、年々、地域での認知度が高まっていることを感じます。
以前はクラブの名前をうまく言えなかった小さなお子さんが、ライオンのアスルくんを見て「アスルくんだ!」と笑顔で呼んでくれたり、ご年配の方が名前を覚えてくださったり。
マスコットが持つ親しみやすさの力を強く感じています。
これからは幼稚園や保育園への訪問なども含めて、アスルくんと一緒に地域へ入っていく活動をさらに広げていきたいです。

また、地域活動そのものの発信も強化します。
「こんな小さな活動まで発信する必要があるのかな」と思うような細かな地域活動や、パートナー企業の皆様との協働活動も、しっかりと発信していきたい。
クラブが地域の皆さんに寄り添い、地域の中で活動している姿を、もっと知っていただきたいと思っています。

8.アスルクラロというブランド

――松本さんにとって「アスルクラロ」とは、どのようなブランドでしょうか?

松本:
一言で表すなら、「温かみがあり、親しみやすいブランド」です。
私自身、そして兄もアスルクラロのアカデミーに通っていました。私はテニススクールでしたが、卒業して10年以上経っていたのに、スタジアムで、昔お世話になったコーチやスタッフが「お兄ちゃん、元気?」と声をかけてくれました。
そういうところが、アスルクラロらしいと思います。
幼い頃から地域の子どもたちの成長を見守り、大きくなった子どもたちが、また大人になって戻ってくることができる。
それは、TOPチームで活躍した選手が、他のクラブに移籍した後にも感じます。
もちろん、いまアスルクラロのエンブレムを付けて戦っている選手が1番ということは大前提ですが、これまでアスルで共に戦った選手の活躍も「〇〇選手こないだ点取ってたね!」とか、「最近試合に絡めていないようだけど、元気かな?」という話もスタジアムできこえてくる、本当に地元の子のように、応援しているんだと感じます。
幼稚園のサッカースクールから始まり、地域の皆さんと一緒に成長してきたアスルクラロだからこその「距離の近さ」、それが私たちのブランドの原点だと思っています。

 

9.スタジアムにある「ポジティブな力」

――スタジアムの雰囲気にも、アスルクラロならではの強みがあるそうですね。

松本:
はい。
例えば、スタジアムでサッカースクール生が熱い応援をしている姿は、他のクラブではなかなか見られない素晴らしい光景だと思います。
また、試合中にブーイングがほとんど起こらないことも、アスルクラロの特徴の一つです。
厳しい状況でも、サポーターの皆さんは前向きな言葉をかけ続けてくれます。
昨シーズンの厳しい戦いの中でも、非難するのではなく、「前を向いていこう」と背中を押してくれる声がたくさんありました。
スタジアムの中に嫌な空気がなく、常に前向きに戦える環境がある。
これは、本当に誇るべき強みだと思います。
だからこそ、その声を力に、ピッチで戦う選手たちには笛がなるまで諦めずに全力で戦い続けてほしいと願っています。

 

10.「原点勝利」を共通言語に。広報からチームを後押しする

――Jリーグ復帰に向けて、広報グループとして今シーズン目指す具体的な目標を教えてください。

松本:
数値目標としては、SNS総フォロワー数7万5,000人の達成を目指しています。

ただ、広報として本当に目指したいのは、数字だけではありません。
クラブに関わる社内外のすべての人が、同じ「共通言語」と「意識」を持っている状態をつくること。
それが大切だと思っています。
今シーズンのスローガンは、「原点勝利」です。
正直、これまでのアスルクラロらしさはないかもしれません。そう思われる方がいたら、今シーズンにかける想いと受け取ってほしいです。
広報として、この言葉を一つひとつ分解し、そこに込められた意味や大切さを丁寧に発信していきます。
クラブに関わる全員が「勝利」にこだわり、「勝つのが当たり前」という意識を持って、勝ち点を積み重ねていく。
そんな空気をクラブ全体につくっていきたいです。
そしてシーズン終了時に、
「原点勝利を体現し、1年でJリーグへの復帰をつかみ取った」
と言える状態をつくること。
それが、広報グループとしての今シーズンの成功だと思っています。

 

11.「絶対に、1年でJリーグに戻ります」

――最後に、サポーターの皆様、そして地域の皆様へメッセージをお願いします。

松本:
サポーターの皆さんへ。
今シーズンもホームスタジアム・愛鷹を青く染めて、熱く盛り上げていきましょう!
チームを力強く後押しするために、愛鷹で皆さんと一緒に素晴らしい空間をつくりたいと思っています。
スタジアムでお待ちしています!

そして、静岡県東部20市町の地域の皆さんへ。
アスルクラロ沼津では、年間を通じて各市町の「サポートデー(招待・優待デー)」を設けています。
これまでスタジアムに来たことがない方も、ぜひこの機会をきっかけに、愛鷹へ足を運んでみてください。
スタジアムの温かい雰囲気を、実際に体験していただきたいです。
そして、ぜひご自身のまわりの方も誘って、一緒にアスルクラロを応援しに来てください。
絶対に、1年でJリーグに戻ります。
その目標を皆さんと一緒に達成できるよう、広報グループとして全力で発信し、チームを後押ししていきます。
今シーズンも、熱い応援をよろしくお願いいたします!

 

「街の中に、アスルクラロがある」

松本さんが語る「分かりやすさ」は、単なる情報発信のテクニックではありません。
それは、子どもから大人まで、サッカーを知っている人も知らない人も、地域の誰もがアスルクラロを身近に感じられるようにするための姿勢です。
そして、「温かく、親しみやすい」というクラブの魅力を、より多くの人へ届けていく。
2026-27シーズン、アスルクラロが目指すのは、単に試合の情報を届けることではありません。
「みんなでJリーグへ戻る」その物語を、地域と共有すること。
その先にあるのは、週末になれば自然とアスルクラロの話題が生まれ、街の中にクラブが当たり前のように存在している未来です。
「原点勝利」。
その言葉を共通言語に、ピッチの中だけではなく、街の中からもJリーグ復帰への戦いが始まっています。

 

 

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