【クラブ創設35周年記念手記:34回目】中山雅史氏

アスルクラロ沼津、創立35周年おめでとうございます。
私にとってアスルクラロ沼津は、サッカー人生の後半において、もう一度情熱を注ぐことができた場所であり、多くの学びと感動を与えてくれたクラブです。
私がこのクラブに関わることになったのは2015年のことでした。2012年に札幌を退団し、膝の治療を続けながらトレーニングを続けていました。楽しくサッカーができる体を取り戻すために、知人の力を借りて一人でもできることを増やしていただけで、実際にサッカーをしていたわけではありませんでした。そんな中、山本昌邦さんの紹介でアスルクラロ沼津と出会い、サッカーのトレーニングに参加させてもらったのが始まりでした。当時の私は、プロ選手としてのキャリアを一度終えた状態で、トレーニングをしていたとはいえ、沼津の選手達との動きの差は歴然、現実を突き付けられて愕然としました。それでも練習に参加しているうちに、若い選手たちの真剣な眼差しとチームの熱量に、何もできない自分なのに負けず嫌い魂をくすぐられ、闘争心に火を付けられ、自然と毎日のようにグラウンドに立ち、挑戦の日々となりました。
2017年、アスルクラロ沼津はJ3昇格という大きな節目を迎えました。その瞬間に何の力にもなれなかった自分ですが、選手として立ち会えたことに幸せを感じます。
そして選手として日々の練習に参加しながらも、JFA Proライセンスの取得を目指してユースチームの指導にも携わり、自分が伝えられることを意識しながらも自分のプレーを見つめ直す場として活動させてもらいました。2020年にアスルクラロ沼津で現役を退いた後は、2021年・2022年とジュビロ磐田のコーチとしてJリーグで闘う日々を過ごさせてもらいました。
そして2023年シーズンから、アスルクラロ沼津の監督に就任しました。監督としての経験はありませんでしたが、「やると決めたからには、全力で闘う姿勢の見えるサッカーをやる」という信念を持ち続けてきました。私が掲げていたチームテーマは「超攻守一体」。攻守において切れ目のない連動と、全員が同じ方向を向いて戦う姿勢、そして魂を込めたプレーを大切にする。
その上で私がやってきたことはただ一つ。目の前の1試合1試合に真摯に向き合い、全力で準備をし、選手と共に最後の笛が鳴るまで闘い抜くこと。それだけはどんな時にも変わることなくやってきたつもりです。
スタジアムに足を運んでくださる皆さんに「また来たい、一緒に闘いたい、応援したい」と思ってもらえるような試合を見せること、地域の皆さんに感情移入していただけるような熱い闘いを届けること、そして共に喜び共に泣けるチームであり続ける、それが私たちの使命だと思っています。勝負強く、粘り強く、愚直に、直向きに、そして心を揺さぶるサッカー。それが 私たちのアスルクラロ沼津が目指すスタイルです。
35周年という節目は、これまでクラブに関わってくださったすべての方々への感謝を伝えると同時に、新たなスタートでもあります。ここまで積み重ねてきた歴史と魂を受け継ぎ、次の世代へとつないでいく。その責任を強く感じながら、チームは日々のトレーニングと試合に取り組んでいます。
サッカーは、喜びも悔しさも、すべてを共有できるスポーツです。皆さんと共に最高の喜怒哀楽を分かち合いながら、これからも前進し続けていきたいと思います。
なお、私・中山雅史は2023年より監督としてクラブに復帰し、2年半にわたりこのチームの指揮を執ってまいりました。しかし、2025年9月をもってその任を退くこととなりました。応援してくださった皆さまの期待に応える事が出来ず、申し訳なく情けない気持ちで自分自身の力の無さに腹立たしさを感じます。
これまで支えてくださった選手、スタッフ、サポーター、株主、パートナー企業、そして地域の皆さまには心より感謝申し上げます。アスルクラロ沼津はまだまだ発展途上のクラブです。ただ伸び代と可能性は無限大であり、これからも成長を続け、地域の象徴として、誇りとして輝いていくことを心から願っています。
前進あるのみ!
中山 雅史

















