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【6月12日(日) Y.S.C.C.横浜戦】マッチデープログラム GKインタビュー(全編)

今回は、GK対談。昨季から在籍しているGK最年長の野村政孝に、北龍磨と大学時代の同期でもある23歳の武者大夢、名古屋グランパスからやってきた21歳になったばかりの三井大輝が加わった今季のGK陣。
ルーツも、年齢も、性格もバラバラな3人の守護神がどんなキャリアを歩み、どのようなGK論を語るのか。
3人に対談インタビューで迫った。

身長が大きかったことがGKを始めた共通点

Q:今回は事前に武田GKコーチに情報を伺った上で3人のルーツに迫りながら、どんなGK論を持っているのか迫りたいと思います。
まずはGKを始めたきっかけを教えてもらえますか。

三井:小学5年生の時にグランパスの下部組織に入って、身長がその頃から大きかったので『ゴールキーパーをやってみないか』と言われたのがやり始めたきっかけでした。
そこから淡々とやってきてここまで来た感じですね。

武者:俺はキーパーをはじめたのが小学校2年生くらいでした。
はじめたきっかけは覚えていないんです。
ただ最初は全然ボールが来なくて、FWをやりたいなと思っていました。
最初はGKメインでやっていて、たまにFWをやることもありましたけど、小4の頃からちゃんとキーパーをやりはじめましたね。
僕は中学も、高校も学校の部活動でやっていたので、一度もクラブチームには入ったことがなかったです。

野村:小2くらいでキーパーをはじめましたけど、きっかけは監督に『やれ』と言われたところからでしたね。
中学はクラブチームに入りましたけど、公式戦で一度くらいしか勝ったことがなかったし、3年生の半年間は遊びに走って練習にも行っていなかったです。
高校に進学する時も男子校からオファーをもらったけど、女子がいないという理由で最初は断りました(笑)。
ただ体験で半年ぶりにサッカーをやった時に『やっぱりサッカーは面白いな』と思って、最終的にはその高校に入りました。
大学も指定校で駒大に行くことになってその後はラッキーもあって名古屋に入れました。

武者:ノムくん、意外と女好きだな(笑)

野村:女はみんな好きやろ(笑)

武者:心外ですね(笑)

野村:それを言わない三井が一番・・・(笑)

三井:いやいや、そんなことないですよ。(苦笑)

Q:最初はみなさんキーパーをやりたい訳ではなかったんですね?

三井:僕はそこまで嫌ではなかったですね。
当時から身長が大きかったのでFWをやっていましたけど、動きもぎこちなくて全然点を取れないからつまんないなと思っていました(笑)。
なので最初はやらされたというよりも『こっちもいいかも』と興味はありました。
それでやってみたらここまで来れてしまったという感じですね(笑)。

武者:俺はめちゃくちゃ点を決めるストライカーだったんですよ。
で、本当に覚えてなくて気づいたらキーパーをやっていました。
特別、やりたくない気持ちも、やりたい気持ちもなかったです。
俺も当時から身長が大きかったので、多分みんなそうじゃないですかね。

野村:俺もでかいからやらされたという感じでしたね。
俺は全然やりたくなかった。
今の子達は人工芝が普通だけど、俺の時代は砂利や砂が当たり前だったので、飛ぶのは痛いし、その上でボールも怖いし、目立つのも好きではなかったので、全くやりたくなかったですね。
小学校のチームも土日しか練習がなかったので、FWやDFとかもなかったですね。
友達がやっていたから入って、すぐにやらされた感じでした。
フィールドをやった覚えもないので、GKしかやってこなかったですね。

Q:それでもGKを続けてきたのは、やっぱり面白さや楽しさを感じていたからですか?

野村:GKの面白さを感じるようになったのは、プロに入ってからですね。
こんなに奥が深いんだと。
そこまで考えずにプレーしてきてなかったんだなとプロに入ってから気づきましたね。

武者:俺は小学校の時にちゃんとやりはじめてから楽しさは感じてましたね。
GKって、年を取れば取るほどやれることが増えるし、楽しさが増している。
やっぱり経験が一番大事なポジションなので、その経験が増えていくことで楽しくなっていくんですよね。
特に絶対的不利な状況で止めた瞬間は、唯一無二ですね。
それでチームを救うのが一番の喜びです。

三井:今でもGKよりもFWの方が楽しそうだなと思うことの方が多いですね。
FWの方が目立てるし、ゴールパフォーマンスもできる。
止めるよりも決めたほうが目立つし、新聞に載るのも止める方よりも決める方だと思うので。
僕は昔から目立ちたがり屋だったので、今でもFWをやりたいなと思うし、ゴールパフォーマンスをやりたいという気持ちは持っています。

GKにしかわからない気持ちがある

Q:反対にGKならではの苦労や挫折もありましたか?

三井:キーパーの練習は、連続的にやるキツさがありますね。
筋力や持久力を上げなければいけないから、そこが1番きつくて嫌なところですね。

野村:1番キツいのはメンタルじゃない?
ポジション柄自分一人では打開できない歯痒さを未だに感じる時はあります。
身体的なきつさは、終わりがあることなので頑張れますけど、正解のないメンタルは、自分一人じゃどうにもできないチームスポーツの性を感じることが多いと思います。

武者:みっちゃん(三井選手)が言ったように練習はフィールドよりもきついし、試合よりも(身体的に)きつい。
ただノムくんが言ったメンタルは、試合の方がキツイ。
負けた時が1番キツイですね。
GKっていつも後悔があって、パーフェクトなゲームってないと思っています。
絶対1個の判断ミスはあるし、負けた試合の時こそ早く練習したいとなりますね。

Q:メンタル面のキツさを普段はどう乗り越えていますか?

武者:僕の場合は、考えても仕方ないし、考えれば考えるほどわからなくなってしまうので、とにかくリフレッシュすることですね。
自分の好きなことをしたり、サッカーから一度離れます。

野村:俺は、練習するしかないと思いますね。
結局、リフレッシュしてもサッカーのことはサッカーだし、サッカーでなんとか持ち直すようにしています。

武者:結局はそうですよね。

三井:僕はそもそも考えることがないですよね。

野村:そうだよな。(笑)

三井:例えば失点も、100%自分が悪いからといえば、そうじゃない。
負けた理由が自分にあるとは思わないし、責任を半分は取ってくださいという感じですね。
名古屋の時に言われていたのは、キーパーは失点した時に自分がもっとこうすればよかったと深く考えれば考えるほど、答えなんて出てこない。
あのようにしておけばよかったと思っても戻れないので、昔から、キーパーにも絶対に止められないボールはあるし、それを決められて負けた時にあのようにしておけばよかったじゃなく、フィールドが打たせてなかったらシュートは入らないでしょというのを持てと言われていたので、僕は考えてこなかったですね。

野村:ゼロで抑えないといけないのでキーパーは完璧主義者が多いですけど、そういう人ほどメンタルをやられるし、上辺では『あのようにしておけばよかった』と考えるけど、内心は『もっとやれよ』と思いますね。

三井:僕は子供だからそれをすぐに言っちゃうんですよね。

野村:それはいいところだと思うよ!海外気質の部分じゃん。

三井:そういうのを出すと、嫌われる人には嫌われるので損することも多いんですよ。

野村:俺はそうあるべきだと思うよ。

三井:そのさじ加減がうまくできないからまだ子供だなと思ってしまいますね。

武者:俺はみっちゃんとは逆ですよ。
どっちかというと完璧主義者の方だから自分に問いかけますね。
フィールドのせいではあるかもしれないけど、その中にも俺にできたこともあるんじゃないかなと。
だから自分の理想にどれだけ近づけられるかを思っていますね。
理想は、ハイボール、ビルドアップ、シュートストップ、コーチング全てが完璧なキーパーですけど、その全てができてこそがキーパーでもあると思っているので、うまいキーパーなら止められたんじゃないかと考えてしまうんですよ。

野村:それも上を目指す上では大切だと思う。

武者:俺はそっち側ですね。

野村:みんなどっちの気持ちもあるんじゃないですか。
もともとは俺も完璧主義者過ぎたから、武者の考えも実践してきたけど、それでメンタルをやられた。
自分で気づいてオーバートレーニング症候群の手前で済んだ経験もある。
もちろん完封して全てを網羅したいけど、届かないシュートにこういうコーチングを言っておけばよかったと言っても、その相手が寄せてくれなかったら同じ結果になってしまう。
自分の守れる範囲内で全力を出して、その上でダメなら更に自分を伸ばせばいい。
つい先日の練習でも、ゴール前の局面で、キーパーのコーチングに対する比重が大きくなってしまっていた。
本来チームメイトの中で守備のやり方が浸透していれば、俺らが”過度にコーチングしなくてもいい”=“自分のプレーに集中できる”という流れが自然とできるけど、それがないと俺らが必要以上に喋らなければいけない状況が生まれてしまう。
自分がやるべきことはやった上で、味方にやってほしいことや任せるところも提示しないといけない。
二人の考え方をどっちも持ってきたし、どっちも正解だと思う。

武者:俺が割り切れるのは神コースや至近距離のシュートなら割り切れますね。
自分の中で後悔が残る失点シーンは自分よりも味方を追求しますね。
やっぱりキーパーは孤独ですからね。

野村:結局はそうだね。
キーパーにしかわからない。
自分にしかわからない。
お前なら止められたとかも自分が試合に出ていなかったら、そのシーンが生まれないから。
そいつ自身の現象だから、当事者しかわからない。
そいつにとっての消化のさせ方があると思います。

三井:マジで良い話でしたね!

野村:お前もその中に入ってるんだよ。(笑)

尊敬するのは、日本を代表する二人の守護神

Q:これまで理想や目標としてきたGKはいますか?

武者:世界一と言われるアリソン(リヴァプール)は、理想ですね。
体の使い方も含めて、とにかく止める。
ビルドアップでミスる場面も時々あるけど、やっぱりキーパーの1番の仕事は”止めること”だと思うから、結局はそこを求められるんですよ。
チームによってビルドアップを求められることもありますが、”止める”キーパーはどこでも活躍できる。
反射的に至近距離のボールはどうしても逃げてしまうところもありますけど、アリソンは体を寝かしたり、体の使い方をわかっているから当たるんですよ。
そういう人を見ると、もっとうまくなりたいなと思いますね。

Q:三井選手や野村選手はどうですか?

武者:俺、三井のはわかるよ、エデルソン(マンチェスターシティ)。

三井:違いますよ(笑)

野村:完全にタイプ違くない?(笑)

三井:俺は言えないですね(笑)

野村:取材にならんやん(笑)

三井:僕は・・・、能活さん。

野村:お前、違うだろ!!そこは普通、ナラさん(楢崎正剛)だろ!!

三井:お二人ですね(笑)

野村:これはラインで報告しておきます(笑)

三井:違う、違う(焦)

野村:お前が沼津に来る時に『三井ってやつが行くからよろしく頼むな』とラインをわざわざくれたからな。

三井:僕は二人なんですよ(笑)

野村:先に名前を出したのはどっちや(笑)

三井:ナラさんっす(笑)

野村:嘘つけ(笑)

三井:え!!記憶が入れ替わっていました(笑)。
僕はナラさんと能活さんです。
ナラさんに指導してもらったのもありますけど、地元が名古屋で幼稚園の年長くらいの時から応援席で観ていましたけど、名古屋が優勝した全盛期の頃がちょうど4年生くらいの時で、ストイコビッチが監督している時はずっと強くて、その時になんで負けないんだろうと思った時に、”止める”キーパーがいて、決めるフォワードがいて全部が揃っているチームだったんですよ。
その時のゴールキーパーだったナラさんはシンプルに尊敬ですね。

武者:今の話、全部嘘だろ(笑)

三井:本気という言葉しか出ないですね。

武者:お前、作り話うまいな(笑)

三井:能活さんも、代表活動の時に一緒にやっていてその時に自分の経験談とかを話してくれました。
プレーを見ていてもすごいと思うし、勝負強さのあるキーパーだなと。
2004年のアジアカップ準決勝で絶対に負けたと思うようなPKを勝ちに導いているんですよ。
日本が次、決められたら負けるという状況でバーに当てたセーブを見た時に『この人は本当にすごいな』と。
あの時代は、(2002年の)日韓W杯にナラさんで、(2006年の)ドイツW杯が能活さん。
今までの歴史の中でもあの二人がすごいコンビだなと思っています。
これから日本のサッカー自体のレベルが上がってもそこは変わらないと思うし、そこは二人とも本当に尊敬ですね。
素晴らしい二人に指導してもらえて、今の自分があるかなと思います!

Q:野村選手も名古屋時代に一緒にやっていた楢崎さんの凄さはよく知っているのではないですか?

野村:みっちゃんが言ったみたいに知っているキーパーがナラさんと川口能活さんしかいなくて、サッカーを全然観てこなかったので。
その中でもやっぱりナラさんですね。
一緒にプレーしてみて、その凄さもわかったけど、なりたいと思ってもなれない存在というか。
ビルドアップはモダンなキーパーだと思うので、すごく捌けるというわけではありませんが、経験からくるプレーもそうだし、ゴールキーパーとしての技術の高さや信頼感、オーラは欲しくても手に入らないものなんだなと一緒にプレーして痛感しましたね。
それでもそこを目標にしている部分はあります。

三井:(拍手)

野村:パチパチじゃないやろ(笑)

三井:俺からもナラさんに報告しておきますね。
ノムくんが訳もわからず、ナラさんのことを持ち上げていましたって。(笑)

一同:(笑)

野村:訳もわからずと言っている時点でお前は終わりや(笑)

三井:やめてくださいよ、俺はナラさんのことを尊敬しているんですから(笑)

野村:尊敬が軽いんだよ(笑)

三井:重いですよ。
僕なんてナラさんを見て育ったみたいなもんですからね(笑)

野村:でも最初に出てきたのが能活さんだったからな(笑)

三井:ナラさんを見て、名古屋で育ちましたからね。
頭が上がんないです(笑)

野村:嘘ばっかりやん(笑)

三井:ノムくんは一緒にやっているじゃないですか。
俺はどちらかというと教えてもらっていた方だから半分いじるみたいなところもあるんですよ(笑)

野村:教えてもらっているのにいじるなよ(笑)

ムードメーカー・三井の真骨頂

Q:お互いのここを貰えるとしたら何を選びますか?

野村:みっちゃんなら・・・三井の良いところな・・・(笑)でもフレッシュさは欲しいなと思いますね。
自分がこの若さの時にここまでのフレッシュさや上手さはなかったので、羨ましい部分はあります。

三井:急に持ち上げないでくださいよ(笑)

野村:それくらいしかないわ(笑)

三井:おい(笑)

武者:(笑)

野村:武者からは、身体能力や高さが欲しいですね。
自分もこの若さの時に身体能力はあった方だけど、やっぱり年々落ちていくし、怪我もあるとどうしても無くなっていくものなので、今もらえるなら欲しいですね。

武者:あざーす(笑)

野村:軽いんだよな、あざーすが(笑)

武者:ノムくんからはキーパーの基礎技術ですね。
すごくセービングも丁寧で綺麗なので。
俺はどちらかというと基礎技術がほぼないと思っているので。

野村:いや、お前は俺の若い頃よりうまいよ。

武者:自分はキーパーコーチがずっといなかったら、そこがすごいと思いますね。
みっちゃんは、シュートストップの反応スピード。
特に至近距離のシュートストップが速いからそこはすごく欲しいですね。
”ばちん”と止めるんですよ、そこが欲しいです。

三井:僕は結構、イケメンだし、スタイルも良いから・・・。

野村:はい、ありがとうございました(笑)

武者:ばか不細工だよ(笑)

三井:髪型かっこいいし、イケメンだし、スタイルいいし・・・。

野村:ハゲてるしな(笑)

三井:ハゲてないわ(笑)
ノムくんからは、冷静さというか、ベテランならではの雰囲気があるからそこがこの年でも欲しいなと思いますね。

野村:ちょっとディスってるな(笑)

三井:僕はなんでも思っていることを言葉にしちゃうから、やっぱり好かれない人には好かれない。
そういうところがさっきも言った海外思考というか、なんでも主張しちゃうし、嫌なことは嫌って言ってしまう。
そこがノムくんは大人。
裏ではムカついていると思っていても、何もないよと振る舞える冷静さは欲しいですね。
あと武者くんは、キック力と筋肉が欲しいですね。
ノムくんもそうですけど、筋肉は欲しいです。
お願いします(笑)

野村:パワーは武者やろ。

三井:武者くんの体が欲しいです。ください!(笑)

野村:それは筋トレしろよ(笑)

三井:マジで冷静さとパワーは欲しいです。
この二人を見ていると、自分が子供だなと思いますもん。

武者:俺はそれで失敗しているから。

三井:武者くんはよく言ってますもんね。
だからここでは冷静ぶってしまうと。
それで大人になれる武者くんってすごいなと思っていて、僕は監督にもすぐ言っちゃうし、サッカー内では先輩とかも関係ないと思っているからなんでも言っちゃう。
だから1年目からずっと怒られたりしてきてますね。
そこは本当に欲しいですね。

野村:年を取ったら勝手につくよ。

三井:それはわかるんですけど、できれば年取る前に欲しいんですよね。

野村:今、気づけただけいいやん。

三井:そうっすね。
よかった、まだ若くて・・・(笑)。

野村:おい、おかしいだろ(笑)。

三井:野村パイセンのことなんて馬鹿に出来ないですよ~(笑)

野村:俺がそういうのを許してしまうのがいけないんだな・・・(嘆)

Q:ありがとうございました。3人の関係性がよく分かったので楽しかったです。
ちなみに最後に言い残したことはありますか?

野村:最後に言うことがあるとすれば、三井の謝罪やろ(笑)。

三井:すみません。
僕の尊敬しているプレイヤーは楢崎正剛さんです!ありがとうございました。

interviewer:森亮太